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ベンチャー経営者のための資金調達マニュアル Vol.1

8月から2か月ほどかけて友人のITベンチャー経営者の教育をやってました。
最近起業したてでまだまともな経営経験がないということでやはり仕事も資金調達もなかなかうまくいかずに苦労していたので、まずは資金調達だけでもうまくいかせるため、自分の過去の経験をいかして資金調達のマニュアルを構築しました。

その結果、先日彼は無事にVCから資金調達や大手企業との事業アライアンスが決まったとのことです。仕事の規模と調達金額の総額は1億強なのでベンチャーにしてはかなり大きな成果ではないでしょうか。

それまではたいしたビジネス経験もなかった彼にたった2か月である程度の実績を上げることができましたので、ベンチャーをやっている人に参考になるかもしれませんしそのマニュアルを簡単に紹介します。
すべての人の当てはまるわけではない点と、外には書けない内容もあるため一部内容が足りない点があることはご留意ください。

また、長いのでVol.1からVol.3の3部に内容を分割しており、今回のVol.1は資金調達にかかる前段階の経営者のスキルのボトムアップに関してのマニュアルです。
Vol.2では実際の資金調達の資料作成の内容を、Vol3.では実際の資金調達の流れの内容をマニュアル化します。

==以下 Vol.1==


Vol.1では基本的にベンチャー経営者のベースのスキルの向上を行います。

まずはじめに意識したことは、つきっきりで教えることはできないため市販の本である程度のことが対応可能にするという点です。
市販の書籍を教材としながらも短期で基本的な思考が身に着くことを前提としています。なおファイナンスの知識がないことも前提です。

また、基本的には自分が設立間もない時期にベンチャーキャピタルから資金調達を行う上で(※1)の必要だった知識をできるだけ網羅している教材を選択しています。

そこで選択した教材は下記の10冊。

図解 フィンランド・メソッド入門
会計操作―その実態と識別法、株価への影響
マッキンゼー式 世界最強の仕事術  解説編
勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力フレームワーク力
成毛式・実践マーケティング塾
コーポレート・ファイナンス入門 (日経文庫)
決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法
定量分析実践講座―ケースで学ぶ意思決定の手法
道具としてのファイナンス
ゆとりの法則 - 誰も書かなかったプロジェクト管理の誤解


主に今回の教育プログラムでは
・発想力
・論理的思考能力
・マーケティング基礎知識
・ファイナンス基礎知識
・リスク回避基礎知識
を中心に学習させました。

以下は具体的にやったことです。

①発想力
図解 フィンランド・メソッド入門を利用して基本的なAjatus Karttaなどのトレーニングを行います。
Ajatus Karttaとはフィンランド版のマインドマップのようなものなのですがきちんと5W1Hでマップを構築していくこちらのほうが実際に使いやすいと思います。。
フィンランドでは子供のころからこの教育が行われているため論理思考能力が非常に高いらしいですが「子供でもできる」というのが大きなポイントではないでしょうか。

参考:
Ajatus Kartta
http://gitanez.seesaa.net/article/50527544.html

あとは実際に自分の身の回りのことを中心に分析をさせていきます。
ここではできるだけ思いついたことを多く書き出すことを意識させながら、SNS、動画共有サービス、ブログなどを実際に各サービスごとに分析を行わせました。


②論理思考能力
マッキンゼー式 世界最強の仕事術  解説編勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力フレームワーク力
を利用してMECEなどの論理的思考方法や基本的な戦略検討の型を覚えさせます。

マッキンゼー本ではざっくりとした分析の考え方を、フレームワーク力の本では主にカラー部分にまとめられているマーケティングのフレームワークの一覧をざっくり使い方を覚えておいてください・

次に定量的に物事を考えることを覚えるために定量分析実践講座―ケースで学ぶ意思決定の手法
を学習させます。

特にディシジョンツリー(P.144)やリアルオプション(P.164)の考え方は必ず身につけてください。

その後はケーススタディとして実際のビジネスに関して自分で考えるトレーニングを行います。
具体的には①で分析したkarttaをもとにMECE分析や4p/4c分析、3c分析など様々な分析を行わせます。

③マーケティング基礎知識
マーケティングはわからない人にとっては何をしていいのかわからない迷いの森です。
なので感覚的にわかりやすい成毛式・実践マーケティング塾を教材にしました。さっと読んで感覚的に理解するだけで問題ありません。
成毛さんの話は若干極端な面はありますがざっくりと読んで興味をもちやすい内容なので、それを読んである程度の感覚をつかんだあとに実際のマーケティングのプランを構築させます。

基本的に②の論理思考の分野で必要な思考手法とマーケティング分析手法は身につけているという前提なので自分でケースとして分析した企業がどうすれば成長するか、というシナリオを書かせます。


④ファイナンス基礎知識
実際にファイナンスをかける際にはファイナンスの知識がなければ話にならないことが多いです。資本コスト、WACC、ROAくらいの意味は知っておくべきです。
コーポレート・ファイナンス入門 (日経文庫)決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 などの本を参考に基本的な知識を仕入れます。2冊とも教科書として利用してください。

その後は実際に自分の会社に関して数字を計算してみましょう。
ここは実際に使える数字になっている必要はありませんが自分のビジネスが「儲かるのかどうか」を考えるのは大事なことです。

それができれば次は道具としてのファイナンスで実践的なファイナンスの手法を身につけます。
このあたりの知識が基本的に入っていれば普通のレベルであればファイナンス戦略を考えることはできます。あとは実際の自分のビジネスに対してWACC、NPV、DCFあたりの計算資料を作成させます。

⑤リスク認識
ファイナンスの知識と合わせて認識しておかないといけないことは「リスク」に関してです。
ベンチャーの経営者はなぜかリスクに対して異常に寛容です、でもそれだとやっていけなくなる可能性が高いので注意です。

まずはITベンチャーのリスクを知っておくためにゆとりの法則 - 誰も書かなかったプロジェクト管理の誤解 を学習させました。
この本はIT系の人間からすると耳が痛いことが山ほど書かれており、それを意識して組織を作るか耳をふさぐかで大きな違いが出ると思ってます。

また財務面でのリスクを認識するうえでは会計操作―その実態と識別法、株価への影響を教材として利用しました。

経営者がとってしまいがちな粉飾の手法が網羅されており、どういったケースで間違った方向に進みやすいかを認識しておくのは非常に大事なことです。
自分がそれを行いそうなったら踏みとどまる準備として非常に有効です。


これでざっくりとした

洗い出し→分析→戦略構築→財務分析

までのクリティカルパス(※2)が通ったことになり、ケーススタディも一順させることができます。
これをもとに自社の分析を行い、事業戦略を策定することで外向けにも「理解されやすい」計画書になります。

また、個人的には「ベンチャーはなぜ調達ができないか」、という質問の答えは「考えが足りない」がほとんどだと思います。

考えが足りないは2種類あって
・考えれていないから成功しないのがわかっていない
・考えれていないから魅力をきちんと説明できない

前者はそもそもNGですが、後者の場合はプランに対しての質問に答えられないとか矛盾した回答、というのがビジネスを阻害する大きな要因になっているのでこの部分を上記のようなきちんとしたメソッドに基づいて実践することで資金調達は行いやすくなると思います。

最後に実際にこういう指導をやってて思うのは、最近の若い人が本を全然読まないのはやはりもったいないということです。自己投資として本はすごく効果が高いのでとりあえずだまされたと思って本に投資をしてみてください。

きっと短期間で急にビジネスの視野が広がると思いますよ。

Vol.2に続きます。

ベンチャー経営者のための資金調達マニュアル Vol.2
ベンチャー経営者のための資金調達マニュアル Vol.3(まだ未完成)

 

 ※1 ナレッジデータベースは学生ベンチャーですが設立から半年でオリックスキャピタル、インスパイアといったベンチャーキャピタルに対し第三者割当を実施しています。

※2 参考:クリティカルパス分析


 

<追記>
一部参考に挙げた本に間違いがありましたので修正しました。
表紙が似ていたので勘違いしたようで「デスマーチ」としてあげていた本は、ゆとりの法則 - 誰も書かなかったプロジェクト管理の誤解 の間違いでした。

実践マーケティング塾はもう売ってないみたいで成毛真のマーケティング辻説法 (日経ビジネス人文庫)に名前が変わって出てるそうです。


また、補足として追加で読んでおくと良い1000円以下のお勧め本を紹介します

財務: 2冊ともファイナンスの基礎知識を得るのに非常にいい本です。
ざっくり分かるファイナンス 経営センスを磨くための財務 (光文社新書 297)
会社の値段 (ちくま新書)

マーケティング: マーケティングの教科書としてかなり使えます。
マーケティング (日経文庫)

教養: リスク、アイデア、考え方といった観点で教養として読んでおいたほうがいい教科書的な本を集めました
統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか?
経営者は危なくなるほどよく笑う (Kobunsha Paperbacks Business 21)
会社のつくり方 (日経文庫)
アイデアのつくり方
稲盛和夫の実学―経営と会計
失敗学のすすめ (講談社文庫)

 

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